本稿では両国の言語景観という視点から多言語意識に関する人の意識に焦点を当てて分析する。このような研究を通して両国民の意識の中に溶け込んでいる多言語に対する態度と方向性を把握する。調査の結果,単数回答の場合,韓国と日本で多くの人が多言語表記の増加に注目していることが分かった。多言語表記の利用について,韓国で半数以上が「利用する」と答えたものの,日本では半数近くが「利用しない」と答えた。また,多言語を使って表示した方がよいと思う人が両国で7割を超えている。複数回答の場合,両国ともに「歌の曲名やグループ名」「ファッションや化粧品名」「電気製品のマニュアル」の分野で多言語表記が増えたと答えた割合が高かった。次に「観光地」「広告業界」「駅名」が上位を占めている。多言語表記を使うことの肯定的な面と否定的な面を尋ねた結果,上位にくる項目は「実用的」「新しい感覚が出せる」という肯定的な意見が多かった。最後に優先的に駅または電車内で多言語表記が必要な場所は「駅名表示」「乗り換え案内」「出口案内」であることが分かった。