この論文は、1980-90年代、バブルから長期不況への転換する中、「東京湾・埋立地」の景観と表象を通じて、日本社会が持つ集合意識の両価性を分析した。東京の人々は、埋立地を通称して、「夢の島」と呼んできた。東京湾・埋立地は、歴史や記憶が蓄積された空間として、「近代性のナラティブの系譜とアレゴリー」を持っている。80年代バブル時代、都市再開発ブームは、都心と東京湾に沿って、超高層ビル群を建設してきた。90年代初、バブルが弾けた後、一時的に開発を省察する政治的局面が出現した。しかし、開発による新しい景観は、メディアと一体化して、人々に慣れてきた。都心と臨海副都心(「お台場」)を連結する「レインボーブリッジ」は、新しい眺望を作り出したが、歴史的な眺望地点を隠してしまった。当時、建設中だった臨海副都心を走る無人電車「ゆりかもめ」は、巨大な「遊び乗り場」のように軽く消費された。「FujiTV本社」の建立以降、「お台場」を背景に制作されたドラマや映画などは、不況と改革時代であった90年代の大衆の感性と結合され、大きな人気を集めた。その結果、長期的な展望が不在した開発の再検討過程は、人々にとって、諦念を与えて、むしろ政治的雰囲気の保守化をもたらした。80年代から始まった「メディア・アートと結合する開発手法」が定着して、現在の東京都心の姿を作り出した。現在、2020年、東京オリンピック誘致計画の主要会長である東京湾・埋立地は、新しい建設ブームが予告されている。今後とも、東京湾・埋立地の景観と表象が持つ集合意識の行方は、政治的・文化的な観点で注目するべきことである。