民主党政権は2010年12月、今後の日本の防衛政策および防衛力の整備方向に関する基本方針を示す新しい防衛大綱を策定・発表した。今回発表された防衛大綱は日本の安全保障目標を、1)日本に対する脅威の防止及び抑止、2)アジア太平洋地域の安全保障環境の安定化及び国際安全保障環境の改善、3)世界の平和・安定及び人間の安全保障に対する寄与として規定している。そしてこのような目標を達成するためには、今日のグロバール化と国際政治の環境を考慮して同盟、友好関係の促進、国際安全保障環境の改善などの政策を積極的に展開すべきであるという点を強調している。<防衛大綱2010>は、このような認識のもとで日本の中長期的な安全保障戦略、防衛力の整備方向を具体的に提示している。本稿はこのような点を考慮して<防衛大綱2010>に焦点を合わせて考察・分析する。第一に<防衛大綱2010>の主要な内容について簡単に整理し、これを土台に日本の新しい安全保障戦略及び防衛政策の方向と、自民党政権の時に策定・発表された<防衛大綱2004>の内容を相互比較・分析する。また日本の中長期的な防衛力の整備方向についても簡単に言及する。第二に<防衛大綱2010>に提示されている日本の中長期的な防衛政策が北東アジアの安全保障問題にどのような影響を及ぼすかについて考察・分析する。第三にこうした日本の安全保障戦略及び防衛政策が韓国の安全保障問題に与える影響について簡単に述べる。