はじめに 何が悲しくて研究するのか? この本は何のために書かれているのか なぜこんな本が必要なのか それでも研究するのか?第Ⅰ部 研究を始めよう 論文を書き終えるまで……松沢裕作・高嶋修一 1 とりあえずテーマを決める テーマとは何か 最初は思いつきでもよい 史料の有無 たいていのことは誰かが研究している ──先行研究の有無 なぜその研究対象・研究テーマを思いついたのか 何も思いつかない場合 テーマの見直し 2 先行研究をつくる 何がどう「先行」するというのか とりあえず検索してみよう 入門書から読んでみよう 専門的な文献を読む もっと探す 先行研究整理を書く 3 史料とは何か 同時代人に原則として開かれていた史料 同時代人の一部が目にすることができた史料 史料集 史料の種類と所蔵機関・閲覧方法 新聞 雑誌 法令 統計 企業史料 書籍 公文書 政治家・官僚・軍人の個人文書・日記 「家」の史料 帝国議会議事速記録・国会会議録 国外所在史料 辞書・事典・年表 4 データベースを使う データベースにはどのような情報が入っているのか すでに知っている文献を探す場合と未知の文献を探す場合 どのようなデータベースがあるか 5 所蔵機関を探して訪ねる 史料調査に行こう 公的な所蔵機関を訪ねる 史料を閲覧する 史料を撮影する 行政文書の情報公開 史料を「見せていただく」場合 記録と整理 そのほか注意しておくとよいこと 6 史料を読む 作業としての「史料を読む」 文字史料の場合 数字の場合 史料の内容を疑ってみることが必要な場合 7 目次構成を考える 目次は論文の見取り図 「論」と「文」 とりあえず「文」を目指す 「論」を立てる① ──事柄同士の関係 「論」を立てる② ──先行研究との関係 人に説明する 8 書 く あとは書くだけ 図表をそろえる 材料を配置してつなげる 注を付ける 「はじめに」と「おわりに」 仕上げて提出する第Ⅱ部 先行研究の見方 あなたはどこにいるのか 総論 研究者たちは何に関心を持ってきたのか……松沢裕作 (1)何かきっかけがある──研究の潮流を眺めよ (2)明治時代を歴史にする──吉野作造と明治文化研究会 (3)明治時代に起源を探る──日本資本主義論争 (4)その後の明治維新論 (5)ふたたび、「何が悲しくて(嬉しくて)研究するのか?」 近代と現代 いまひとたびの時代区分論……高嶋修一 (1)昔と違う「いま」 (2)帝国主義と現代化 (3)戦後社会と現代化論 (4)「いつだったか」から「どうであったか」へ (5)時代区分は時代遅れか──まとめにかえて 政治史1 政党政治研究の意義と昭和史研究への課題……米山忠寛 (1)日本政治史研究の評価軸──敗戦による「失敗した近代」評価と現実とのギャップ (2)「政党政治」研究の意義と古典的研究との摩擦の回避 (3)「政党政治」研究の限界①──成果の普及と意義の喪失 (4)「政党政治」研究の限界②──「崩壊論」の破綻と残された課題 (5)現在の研究──「崩壊論」の克服と昭和立憲制 (6)今後へのポイント 政治史2 政治史研究の射程の広がり……若月剛史 (1)政治過程論的な政治史研究への批判 (2)組織への着目 (3)国家と社会との関係の再検討 (4)象徴天皇制への関心の高まり 経済史 経済活動のありようを通して社会の変容を捉える……日向祥子 (1)経済史学の基本的な問い (2)源流かつ深層「潮流」としての唯物史観 (3)明治維新期研究 (4)産業革命期研究 (5)帝国主義史研究 (6)「経済史」研究の射程 農業史 なぜ地主制が重要だったのか……小島庸平 (1)農業史と地主制 (2)日本資本主義論争と地主制 (3)寄生地主制論争と世界史的法則 (4)地主制確立論争──異質なウクラードを結びつける (5)後退期地主制史研究と農民層分解 (6)地主制と経済発展──まとめにかえて 民衆史・社会史1 「民衆」の歴史叙述──明治期の民衆運動を描く……藤野裕子 (1)戦後歴史学と「民衆」 (2)民衆思想史の出発 (3)社会史との接点 (4)国民国家論との接点 民衆史・社会史2 「いま」を知るための現代史……原山浩介 (1)現代史研究の展開 (2)社会史研究の難しさと醍醐味──用語・概念の問題 (3)消費者=女性という認識 (4)消費者運動/消費社会の変容 (5)消費者問題の混沌 (6)「いま」に立ち戻る 女性史・ジェンダー史 家族・女性運動・性売買を軸として……坂井博美 (1)女性史・ジェンダー史の変転 (2)女性史論争と女性史研究の確立 (3)ジェンダー概念と近代家族論の登場 (4)家族・女性運動・性売買研究の現在 (5)ジェンダー構造の立体的把握へ 都市史1 複数の波が生んだ大きな潮流……松山 恵 (1)研究潮流としての日本近現代都市史 (2)国家主導の近代化(西欧化・工業化)政策に関する研究──第一の波 (3)人びとの生活世界へ──第二の波 (4)前提の変化とあらたなアプローチの模索──1990 年代以降の展開 (5)近年の注目すべき動向──「都市」の拡張、研究体制などについて 都市史2 「都市史の自立」とその展開……中村 元 (1)「都市史の自立」のうねり──1970 年代末から80 年代/第一の波 (2)「都市史の自立」の到達と分岐──1990 年代から2000 年代/第二の波 (3)寄せ返す「都市史の自立」──2010 年代~/第三の波 植民地研究 「植民地性」を探究する学問……竹内祐介 (1)植民地研究という研究潮流はない? (2)支配に対する反省と植民地研究の再開 (3)地域の通史を描く──植民地近代化論の登場 (4)近代化論批判からの二つの転回──植民地近代論と帝国史研究 (5)植民地性とはなにか──経済史研究からみた植民地研究 日本政治思想史 用法用量を守って正しくお使いください……河野有理 (1)「日本政治思想史」の卒論は書けない? (2)日本政治思想史は「実証」的ではないか? (3)日本政治思想史は「理論」的なのか? (4)丸山眞男を先行研究にするということ 歴史社会学 歴史学から近くて遠い社会科学……野上 元 (1)社会史と歴史社会学、「社会」とは何か? (2)歴史社会学の歴史 (3)日本の歴史社会学 むすびに 卒論のその先へ あとがき 執筆者紹介 索引