はじめに——峯村健司第1章プーチンの戦争•習近平の夢——小泉悠X峯村健司1 ロシアを勝たせてはいけない ロシアとウクライナの兵力、実は互角 4年がかりでドイツに勝った、独ソ戦の成功体験 モラル的には中世の戦争のような野蛮さ” ロシアはウクライナの軍隊や国民を舐めきっていた ボスを喜ばせるために見通しがなくても踏み切った? 「ドイツは主権国家ではない」というプーチンの世界観 ロンアも中国も「自由で民主的な市民社会」を想像できない 「プーチンは俺たちをアメリカの陰謀から守ってくれる」 「ロシアは大国でなければならない」という国民意識 大国間の戦争が抑止できるなら中小国は犠牲になっていい?ウクライナ侵攻を台湾併合の「教科書」にしたい中国ウクライナの足腰が立つうちに停戦にこぎつけられるか 核兵器•化学兵器の使用はあるのか プーチンを増長させたバイデンの弱腰 プーチンもNATO領の侵犯は怖くてできない 中国共産党に台湾を「奪還」しないという選択肢はない 自衛の能力と意志がなければ他国は助けてくれない ロシア軍苦戦の背景にある積年の腐敗体質 ロシアは中国にどこまでの支援を期待しているか 習近平がプーチンに「籠絡」された瞬間 「中国とロシアの夢は一致している」 ロシアの日本侵攻はあり得るのか 経済合理性なき「名誉」をかけた戦争 2 19世紀的「ネオ近代」の到来 中露が目指す「多極化」の国際秩序とは? 大きな近代国民国家が競争を繰り広げる時代 好かれるより恐れられているほうがいいという価値観第2章 武器を使わない戦争 1—鈴木一人X峯村健司 1 経済制裁の本当の効果 プーチンを「冷徹なプラグマティスト」だと見誤った 大きな役割を果たした民間の宇宙インフラ 第一次世界大戦も大義のないままに始まった 緊張が高まっていなくても戦争は始まるという怖さ アメリカにはウクライナ侵攻を抑止するつもりがなかった 経済制裁でプーチンの行動を止められるわけがない 経済制裁の効果とは相手の戦争のコストを上げること 日中間に仕掛けられている「相互依存の罠」とは? 「安いから」とロシアにガスを頼り足を掬われたドイツ 経済安全保障推進法の成否は企業の自覚次第 人権感覚に鈍いことは今やビジネス上のリスク 「ウイグル人の強制労働に関与した企業リスト」の教訓 レピュテIション争いで完敗した日本の捕鯨 「ナラーラブ」をつくる「スルさ」がない日本企業2 「同盟」が重視される時代へ ロシアの帝国主義に多くの国が追従するのか 中露にたかる国々と「寄らばアメリカの陰」の国々 ロシアは中国にとって邪魔な存在になる? 習近平を縛る、プーチンとの共同声明 3期目を前に習近平が負わされた三重苦 同盟国がただ頼ってもアメリカは助けてくれない 国連に戦争を止める力はない、改革もできない第3章 苦境に立つアメリカ——村野将X峯村健司1 米中対立激化の背後で何が起きていたか 中国重視への転換の裏に潜んでいたリソース不足問題 ウクライナ侵攻前から弱まってきていたアメリカの抑止力 バイデン政権は核の役割低減を進めようとしていた ロシアの「抑止」には失敗したと言わざるを得ない 「ロシアは選択を誤った」という教訓をつくりだせるか台湾有事における対中制裁は機能するのか 対話の窓口が確保されていない米中関係の危うさ 「核の脅しは効く」という自信をロシアに与えてしまった トランプ政権だったらこの戦争は起きたか アメリカがインド太平洋地域に戦力を分配できなくなるリスク 「2027年までに台湾危機」を裏付ける中国軍の航空戦力増強 日本にはどんな「打撃力」が必要か アメリカからミサイルを買えるか、防衛費を増やせるか 核•通常両用で使えるミサイルDFI26の脅威 揚陸能力は低くても中国の台湾侵攻は可能 核使用に追い込まれる恐れがあるのは中国でなくわれわれの側 2 台湾有事、そのときアメリカは 核エスカレーションに対応する意志と能力が必要 アメリカが中国に集中できる形での戦争終結を 台湾有事でアメリカはどこまでリソースを割くのか第4章 台湾有事のリスクとシナリオ——小野田治X峯村健司 1 ロシア•ウクライナ戦争から得るべき教訓 ロシアは1週間でキーウを制圧するつもりだった「特別軍事作戦」の本来の目的 「戦意が低い」ではなく「そもそも戦意がなかった」ロシア兵 ロシア軍はなぜウクライナ軍の強さを見誤ったのか スマホで連絡しあって傍受されていたロシア軍 アメリカの画期的な情報戦をバイデン大統領が台無しに 形勢が明らかになるにはまだ時間がかかる 人民解放軍創設1OO周年の2027年は要注意 「ロシア軍は下手を打った」「われわれならもっとうまくやる」 中国軍の揚陸能力は侮れないが、台湾上陸作戦は難しい ウクライナへの武器支援のために台湾への納品が遅れている 中国軍の航空戦力はあと5年でアメリカと対等に? 自衛隊も対応が急がれるが、お金が足りない 自衛隊では新しい戦闘機を買うのに15年かかる台湾有事でも西側諸国は結束して迅速に支援に回れるのか中国の影響工作により、日本は「戦わずして負ける」? 「安全保障よりも経済がいちばん大,事」と言う人たちの存在 経済的な相互依存を「兵器」にしようとする中国 2 体制間の生き残りをかけた競争 ロシアは、戦争防止のための人類の努力と英知の蓄積を破壊した 経済圏の奪い合いで鍵を握るのは東南アジア ペロシ訪台後の軍事演習に何も手を打たなかった日本政府の大罪 「2024年危機説」が現実味を帯びるこれだけの理由 第5章 パワーポリーククスに回帰する世界双——細谷雄一 X峯村健司日米欧の中で唯一、ロシアと緊張状態にあったイギリス 中国•ロシアの脅威を明確に示したNATOサミット プーチン体制が終わっても戦争は続く可能性がある的民主主義国は人口ベースではすでに世界のマイノリティー少 国際社会が結束してロシアの野望を挫折させることが重要 中露が脅威であるかぎり、国連だけに頼っていたら国を守れない 米露が失墜し中国が世界の主導権を握るという「漁夫の利」 19世紀的パワーポリティクスと20世紀的二極構造のミックス アジア•アフリカにアウトリーチするのが日本の役割 日本は欧米型とは違う自らの民主主義の長所を自覚すべき ウクライナも台湾も米中対立における「中間地帯」の取り合い G7の中で最も政治が安定している日本のミッション 「ロシアもウクライナも両方悪い」論はなぜ適切ではないのか台湾有事で、反米•中国寄りの発言をする人たちと戦えるか「ルールに基づく国際秩序」を再建するのが日本の国益おわりに——帝国主義に逆襲される世界峯村健司刑編集協力 岡田仁志DTP 美創