序章 本書を読み進めていただくために第1部 裁判員裁判の評議研究の必要性と会話分析的手法の意義第1章 裁判員裁判における評議研究の必要性・重要性1 はじめに2 裁判員裁判の特殊性と評議研究3 裁判員裁判に関連する司法研究報告書と評議研究4 過去の模擬裁判の評議と評議研究5 おわりに第2章 評議の会話を研究する意義1 本章の目的−評議を「会話」として探究する2 社会生活の「インフラ」としての会話と「会話分析」のアプローチ3 会話分析の特徴と基本的な考え方4 評議会話の具体例を観察する5 結語−「実質的協働」の実現に向けて第3章 評議を「会話参加者の観点」から分析する1 本章の目的−「会話参加者の観点」から評議を分析すること2 評議会話データの数量化に基づく研究例3 評議会話を再分析する4 結語−「会話参加者の観点」からの評議会話研究の意義第2部 裁判員と裁判官の対等な関係性とはどのようなものか第4章 裁判官の質問の宛先と裁判員の答え方1 はじめに2 「順番交替」の視点3 データの分析4 議論5 おわりに第5章 「教室型コミュニケーション」はどのように生まれるのか1 はじめに2 教室型コミュニケーション3 分析の方法論と観点4 分析データ5 分析6 おわりに第6章 意見の「専有」から「共有」へ1 はじめに2 データ3 補充尋問における質問事項の整理4 殺意の有無に関する意見の整理5 量刑に関する意見の整理6 考察7 おわりに第3部 裁判員と裁判官の意見の交流はどのように行われているか第7章 裁判員と裁判官のディスコミュニケーション1 はじめに2 分析データ3 裁判員による意見表明の仕方と議論の順序に対する理解4 おわりに−裁判員と裁判官のディスコミュニケーションはなぜ生まれるか第8章 裁判員と裁判官は議論の枠組みをどのように捉えているのか1 はじめに2 裁判員経験者アンケートにみる評議の問題点3 分析データ4 裁判員と裁判官の議論の枠組みに対する理解5 おわりに第9章 裁判官による評議「マネジメント」の一側面1 本章の目的と概要−裁判官の「後ろの位置」での発言とその意義2 データと分析方法3 裁判員発言の「後ろの位置」における陪席裁判官の発言4 考察5 結語第4部 国民の「健全な常識」とは何か第10章 裁判員は何者として意見を述べるか1 はじめに2 裁判員制度の意義をめぐる議論3 分析視点−相互行為の中のアイデンティティ4 データの分析5 議論6 おわりに第11章 裁判員は常識モデルをいつどのように使うか1 はじめに2 常識モデル3 知識のタイプ4 裁判員の発言の位置5 考察と結論第5部 心理学・裁判実務・刑事法学からみた評議の会話分析研究第12章 心理学からみた評議の会話分析研究1 裁判員裁判・評議のプロセスに近づけない2 これまでの心理学的アプローチ3 会話分析アプローチが明らかにする「社会」4 今後の模擬裁判員裁判の評議分析にむけて第13章 裁判実務からみた評議の会話分析研究1 評議の会話分析研究の意義2 裁判員と裁判官の対等な関係性3 裁判員と裁判官の意見の交流4 裁判員の意見と国民の「健全な常識」5 「神は細部に宿る」第14章 刑事法学からみた評議の会話分析研究1 はじめに2 評議研究における会話分析の手法(第2章・第3章)3 裁判員制度の趣旨と裁判員の個人的経験にもとづく意見(第10章・第11章)4 挙証責任と二項対立的な裁判員の意見(第8章)5 確実な証拠にもとづく認定と常識的知識にもとづく推論(第8章)6 「後ろの位置」での同調的変容と、裁判員・裁判官の対等性および実質的協働(第9章)7 教室型コミュニケーションと裁判官による発言指名(他者選択)(第4章・第5章)8 模擬裁判における付箋紙法(第6章)9 裁判員および陪席裁判官の視線の向きと話し合いの進め方のずれ(第5章・第7章)10 おわりに