はじめに第1章 狭山で生まれた少年――仕事と青春 一雄の生まれた被差別部落 誕生袂袒父と母 〝外〟にあった戦争 小学校時代 子守奉公 続く年季奉公 日当の仕事へ ビクターオートに勤める 〝青春〟の到来 またもや立ちはだかる文字の壁 石田養豚場をやめて兄の仕事の手伝いへ第2章 つくりあげられた「犯人」 突然の逮捕 「狭山事件」 「犯罪の温床」 関源三という存在 「自白」――「男同士の約束」 再逮捕という〝裏切り〟 兄の激怒 別件逮捕の九件の微罪 万年筆の「発見」 「女学生の友」 五月一日事件の日――「真実の足どり」 虚偽の〝事実〟――取調べの録音テープ 虚偽自白 背後に存在する多くの疑義 「生きた犯人」をつくり出す 部落解放同盟埼玉県連合会のとり組み第3章 文字の習得と〝部落解放〟への目覚め――東京拘置所時代―― 死刑判決 文字を学ぶ――〝看守さん〟との出会い 陰の恩人〝看守さんと奥さん〟 竹内景助の助言 〝だまされていた〟――「自白」の否認 部落解放同盟による支援運動のはじまりと被差別の自覚 部落解放運動の枢要な柱としての「狭山差別裁判闘争」 片岡明幸の狭山事件との出会い 支援者に手紙を書く――差別の不当性の訴え 増える支援者 死の恐怖と闘いながら 「兄弟姉妹の皆さんへ」 上申書を出す 広がる支援の輪のなかで 最終弁論の開始と運動の高揚 寺尾判決第4章 労働と闘いの日々――千葉刑務所時代 上告棄却決定まで 千葉刑務所へ 靴工場 洗濯工場 入浴・食事 待遇改善を求めて 刑務所のなかでの娯楽 野球の楽しみ 「解放戦士」として 共産党系弁護士の解任 父母の死 「仮出獄では出ない」第5章 「見えない手錠」をはずすまで 刑務所を出る 三二年ぶりの帰宅 歓迎の渦のなかで 運転免許取得、初日の出をみる 仕事に就く 早智子との出会い 結婚――日常生活を支える 徳島の義母と〝一雄さん〟 〝英雄〟像との葛藤 夫としての〝一雄さん〟 御礼の手紙を書く喜び 自責の念を短歌で表す ジュネーブの思い出――「アイ・アム・イノセント」 〝過去を顧視しない〟 一雄さんに二度助けられた 現在の争点――万年筆のインク 司法を動かす おわりに 主要参考文献 石川一雄略年譜 【資料】被告人最終意見陳述 あとがき