・はしがき
◆第1章 海 域
Ⅰ 海洋法発展の歴史【柳井俊二】
1 慣習法としての海洋法
2 1958年ジュネーヴ海洋法条約までの海洋法
3 1982年に採択された国連海洋法条約の構成
Ⅱ 国連海洋法条約の下での海域制度
1 国家の管轄権の下にある海域
2 国家の管轄権の外にある海域
Ⅲ 日本における国連海洋法条約の実施【鶴田順】
1 2007年の海洋基本法の成立
2 1996年の国連海洋法条約批准時の国内法の整備
3 1996年の国連海洋法条約批准後の国内法の整備
◆第2章 航 行
Ⅰ はじめに【西本健太郎】
Ⅱ 各海域における航行の制度
1 領海における外国船舶の無害通航権
2 国際海峡における通過通航権
3 群島水域における通航権
4 公海における航行の自由
5 EEZにおける航行の自由
Ⅲ 船舶に対する旗国の管轄権と沿岸国の管轄権
1 船舶の定義と種類
2 船舶の国籍と便宜置籍
3 旗国の排他的管轄権【西村弓】
4 内水と領海における沿岸国の管轄権
○Column COVID-19対応
Ⅳ 事故・緊急事態への対応
1 船舶の衝突・座礁事故に対する裁判管轄権
2 海難における緊急入域と船舶の避難地
3 船長の遭難者に援助を与える義務
◆第3章 海洋の天然資源の利用と管理【児矢野マリ】
Ⅰ はじめに
Ⅱ 国家管轄地域における海洋資源の利用と管理
1 内水・領海
2 排他的経済水域(EEZ)における沿岸国の主権的権利と他国の権利
3 大陸棚資源に対する主権的権利
4 海洋環境・生態系の保全―国連海洋法条約第12部およびその他の条約の適用
Ⅲ 国家管轄外地域における鉱物資源の利用と管理
1 「深海底」(Area)およびその鉱物資源の法的地位―「人類の共同財産(common heritage of mankind)」
2 鉱物資源の利用と管理に関する国際制度
Ⅳ 公海漁業に関する国際的規制
1 公海における漁獲の自由と持続可能な漁業
2 国連海洋法条約および国連公海漁業協定による規制
3 地域漁業管理機関(RFMOs)の役割
Ⅴ IUU漁業と旗国・沿岸国・寄港国の役割
1 IUU漁業問題と対処の枠組
2 地球規模での対処
3 地域漁業管理機関(RFMOs)・二国間漁業協定による対処措置
Ⅵ 捕鯨と国際法
1 鯨類に関する国際法の枠組
2 IWCを中心とする「捕鯨論争」と南極海捕鯨事件ICJ判決
3 南極海捕鯨事件ICJ判決後の日本による捕鯨活動
Ⅶ 自然環境・生態系の保全一般との関係
1 自然環境・生態系の保全一般をめざす条約の役割
2 自然環境・生態系の保全一般をめざす条約による規制
○Column SDGsと海洋資源の保全・持続可能な利用
◆第4章 海洋における多様な経済活動【石井由梨佳】
Ⅰ はじめに
Ⅱ 人工プラットフォーム
1 利活用の態様
2 埋立て
3 人工島,施設,構築物の建設,利活用,廃棄
Ⅲ 海底ケーブル
1 利活用の態様
2 管轄の配分
3 ケーブル保護のためのベスト・プラクティス
Ⅳ 海底パイプライン
1 利活用の態様
2 管轄の配分
3 環境規制
Ⅴ 燃料等の洋上補給(バンカリング)
1 利活用の態様
2 管轄の配分
Ⅵ 海洋再生可能エネルギー
1 利活用の態様
2 管轄の配分
Ⅶ おわりに
○Column ブルーエコノミー
◆第5章 海洋安全保障・海上犯罪の規制・人権
Ⅰ 海洋安全保障の今日的意義【石井由梨佳】
Ⅱ 海上における警察行動と安全保障上の行動
1 海洋法上の関連規則
2 海上法執行における実力の行使
3 武力の行使
4 日本の海上保安法制
○Column 挑発的行為の防止,信頼醸成措置
Ⅲ 海上犯罪の規制
1 海上犯罪の意義
2 歴史的展開:海賊類推の限界
3 海 賊
○Column グアナバラ号事件
4 海上テロリズム
5 禁制品の海上輸送
6 制裁回避
7 海洋環境,資源保全と刑事規制
Ⅳ 海上犯罪抑止のための国際協力
1 寄港国措置の強化
2 法執行協力
○Column 海戦法規の意義
Ⅴ 海と人権【小島千枝】
1 国連海洋法条約における人権への考慮
2 海洋紛争解決における「人道の基本的考慮」
3 人権法との融合に向けて
○Column ロヒンギャ避難民と海上阻止活動
◆第6章 海洋環境の保護
Ⅰ 海洋環境の保護についての国際的な制度【小島千枝】
1 海洋汚染の防止のための国際的な規制のはじまり
2 国連海洋法条約における海洋環境保護に関する制度(第12部)の特徴
3 「海洋環境の汚染」の定義
4 海洋環境の汚染を防止・軽減・規制する義務の範囲
5 陸起因の汚染
6 投棄による汚染
7 船舶起因の汚染
8 海難事故による油濁汚染損害に対する責任
Ⅱ 気候変動からの海洋環境の保護
1 気候変動がもたらす海洋の変化
○Column 海面上昇と基線をめぐる問題
Ⅲ 海洋プラスチックごみ【鶴田順】
1 はじめに
2 海洋プラスチックごみ問題とは
3 海洋プラスチックごみ問題に関する国際規範
4 プラスチックごみ問題への日本の対応
Ⅳ 海洋保護区は何のため?【都留康子】
1 海洋保護区の広がり
2 国際的な議論のはじまり
3 求められる数値目標からの脱却
Ⅴ 国家管轄権外区域の海洋生物多様性(BBNJ)
1 海洋遺伝資源とは
2 問題のパッケージ化,そして実施協定の交渉へ
3 国連における交渉の論点と今後
◆第7章 海洋と科学技術
Ⅰ 海洋の科学的調査に関する国際法の形成【小島千枝】
○Column 持続可能な開発のための国連海洋科学の10年(2021-2030年)
1 内水・領海・群島水域における海洋の科学的調査
2 排他的経済水域と大陸棚における海洋の科学的調査
3 公海における海洋の科学的調査
4 深海底における海洋の科学的調査
5 境界未画定海域における科学的調査
○Column 日中間の相互事前通報制度
6 無人の調査機器をめぐる課題
7 海洋の科学的調査における国際協力義務
Ⅱ 海洋科学技術の進歩と海洋ガバナンスの変容【都留康子】
1 求められる技術移転
2 技術進歩から生まれる法
3 技術進歩と海の環境問題化
4 そして,海洋ガバナンスの進化へ
◆第8章 海洋紛争と法の支配【柳井俊二】
Ⅰ 国連海洋法条約上の紛争解決制度および勧告的意見の制度
1 国連海洋法条約の下での海洋紛争
2 紛争の解決に関する総則および調停
3 拘束力を有する決定を伴う義務的手続
4 勧告的意見の制度
Ⅱ 国際海洋法裁判所(ITLOS)の創設と活動
1 判例の概況(早期釈放を含む)
2 暫定措置
3 境界画定紛争等
4 勧告的意見
Ⅲ 海洋法の漸進的発達に対する国際裁判所の貢献
1 国際司法裁判所(ICJ)の貢献
2 国際海洋法裁判所(ITLOS)の貢献
Ⅳ おわりに
◆第9章 地域的な海洋紛争の解決と予防【西本健太郎】
Ⅰ 南シナ海をめぐる紛争
1 紛争の経緯・概要
2 中国による「九段線」の主張
3 フィリピンによる仲裁手続の開始
4 仲裁判断の内容
5 仲裁判断の意義と今後の展望
Ⅱ 東シナ海をめぐる紛争
1 紛争の経緯・概要
2 海域に対する関係国の主張
3 境界未画定海域における暫定取極の締結
4 合意到達を危うくし又は妨げないために努力を払う義務
5 今後の展望
◇資 料◇
(1) 条約・文書一覧
(2) 判例一覧
(3) 資料,参考文献
(4) 国際機関一覧
・条文索引
・事項・人名索引