序 章 ディシプリンとしての政治哲学の再考――イデオロギーを超えて――
はじめに――第二期政治哲学の復興――
1.分析的政治哲学の手法と政治哲学
2.ロールズの政治哲学理解――政治なき政治哲学、倫理学第一主義という批判――
3.政治哲学、政治理論、政治思想
4.古代ギリシアにおける「政治」の発明
おわりに――本書の構成と射程――
第Ⅰ部 イデオロギー論の再検証
第1章 イデオロギー論の思想的系譜――マルクス、マンハイム、そして終焉論――
はじめに
1.マルクスのイデオロギー論――存在と意識――
2.カール・マンハイムのイデオロギー論――部分的イデオロギーと全体的イデオロギーの検討――
3.イデオロギー終焉論の思想史的考察
おわりに――イデオロギーを形づくる歴史意識と政治――
第2章 イデオロギーと歴史主義――カール・マンハイムの歴史主義論からの検討――
はじめに――歴史主義研究への視角――
1.歴史の発見
2.歴史と実在性――歴史と「物語る」ことにおける歴史的実在の否定――
3.カール・マンハイムの歴史主義理解――相対主義克服の道としての歴史主義――
4.歴史主義と知識社会学――イデオロギー論との内的繫がり――
5.歴史主義による相対主義克服の可能性
第3章 イデオロギーの機能と政治的判断・思考の関係性――イデオロギー化された政治の分析――
はじめに――政治学研究におけるイデオロギー――
1.イデオロギー的思考と近代的世界観の形成
2.政治化の現象とイデオロギー的思考の広がり――自然の征服――
3.実践的世界における政治的判断と社会の整序――政治的領域の縮小化――
4.「解決」という名の政治的思考の型
おわりに 政治の再考――政治化の流れを止めるか、イデオロギーを受け入れるか――
第Ⅱ部 レオ・シュトラウスの政治哲学論
第4章 レオ・シュトラウスにおける政治的なものの位置
はじめに
1.シュトラウス解釈をとおした政治観の変容
2.シュトラウス政治哲学をめぐる二つの意味
3.シュトラウスにおける真理の認識
4.科学、啓示、そして哲学
5.哲学への入り口としての政治――最高度の実践――
第5章 レオ・シュトラウスのレジーム論――哲学と政治社会の関係についての考察――
はじめに――レジームという概念について――
1.政治社会全体の性格を基礎づけるレジーム概念
2.レジームの起源と国家体制――最初の立法者の存在――
3.最善のレジームを問いつづける意味――プラトンの『国家』をどう解釈するか――
4.最善のレジームとユートピア政治の危険性
5.最善のレジームと政治的なものの限界
6.哲学者とレジーム――レジームを超えていく人間――
第6章 レオ・シュトラウスの歴史主義批判――徹底した歴史主義をどう超えるか――
はじめに
1.歴史主義の必然的帰結
2.徹底した歴史主義へ
3.ハイデガーと歴史性
4.徹底した歴史主義と政治哲学
おわりに
第7章 レオ・シュトラウスと自然の概念――レオ・シュトラウスのピュシス理解――
はじめに――自然という語――
1.ギリシア精神史とピュシス概念
2.自然(ピュシス)という言葉の語源
3.プラトン政治哲学における自然の正義――「自然にしたがう」(カタピュシス)とは何か――
4.レオ・シュトラウスの自然理解と自然的正
おわりに――政治哲学と政治哲学史の研究――
終 章 古典的政治哲学と現代ガバナンス論の再考――現代公共政策論を古典の知恵によって問いなおす試論――
はじめに――シュトラウスと現実政治――
1.善き政治秩序とガバナンス――ガバナンス論の有用性を問いなおす――
2.政治思想史におけるガバナンス
3.レジームとガバメント、そしてガバナンス――古典的政治哲学におけるガバナンスの位置づけ――
おわりに――統治能力とガバナンスと古典的政治哲学――