脱冷戦後、日韓関係は急速に変化している。冷戦期には「日米韓反共連帯」というイデオロギー的向心力が作用していて、日韓関係が大きく崩れることはなかった。しかし冷戦終結後、日韓両国は国家利益と民族主義が前面でぶつかり合う対立を繰り返している。そのような対立の中、1998年の日韓パートナーシップ共同宣言により日韓両国は未来志向に向かって歩んでいくように見えた。しかし、「日韓友情の年」であった2005年以後、日韓両国は領土及び過去問題により極限の対立を続けてきた。
2008年に出帆した日本の福田政権と韓国の李明博政権は日韓関係改善のための努力を尽くしてきた。特に、李明博政権は発足前から日本との関係改善を強く表明した。李明博政権は日韓関係を経済協力中心の関係にしていくため、両国間の過去に関してはこれから触れないと言明した。このような観点から本稿は、李明博政権の対日政策を分析し、韓国の対日政策が実効性を持つためにはどのような制度的、実践的補完が必要なのかを検討した。また、1990年代以来の日韓関係を踏まえて、日韓両国間の懸案問題に対して、李明博政権がどのように対応していくか、という点を展望する。