本稿では、日本語教育の場において終助詞「よ」を効果的に提示することを目指し、次の通り考察した。まず、「よ」が使用され得る主な場面を、①「情報の提示・是正の場面」、②「承諾・是認の場面」、③「一方的・反抗的な場面」の三つに分類した。次に、この分類に基づく談話完成テストを実施し、日本語母語話者と韓国人日本語学習者の「よ」の使用実態を調査した。その結果に基づき、「よ」を効果的に提示するための要点について検討し、次のような提案をした。まず、提示する際の優先順位は、場面①の「よ」、場面②の「よ」、場面③の「よ」である。場面①は母語話者の「よ」の使用率も高く、インポライトネスやFTA(フェイス侵害行為)となる可能性も少ないため、優先的に提示すべきである。場面③は「よ」以外の形式でも反抗的態度を示すことができるため、優先順位は低い。しかし、この場面での「よ」の使用はインポライトネスやFTAとなる可能性が高い反面、親しみの表明にもなるため、それらの点について解説が必要である。場面②は「よ」の使用が必須的な場面であっても、学習者の「よ」の使用率が低く、文脈的不適格となる「よ」のない形の使用率が高い。その一方で「よ」の使用によってインポライトネスやFTAの可能性が高まる場合もある。それらの点を意識した解説が必要である。