本稿は、前項動詞が後項動詞の「原因」を表す両言語の動詞結合を考察したものである。具体的には、「凍え死ぬ・凍えて死ぬ・落ちて死ぬ・얼어 죽다・떨어져 죽다」のような実例に、「*落ち死ぬ・*얼죽다・*떨어지죽다」のような容認されない例も含めて、それらにおける成立可否・意味上の違い・複合動詞としての認定可能性などの諸問題について分析を行った。また「代表的対応形選定のための基準」を設け、両言語の動詞結合における相互の対応関係の整理を試みた。同基準に従うと、「凍えて死ぬ・凍え死ぬ⇒얼어죽다」「얼어죽다⇒凍え死ぬ」のような形に対応形の整理が可能となる。
本稿は、先行研究ではほとんど取り上げることのなかった「凍えて死ぬ・落ちて死ぬ」のような介在要素有りタイプの例に、「*落ち死ぬ・*얼죽다・*떨어지죽다」のような容認されない介在要素無しタイプの例も含めて、より広範囲な視点から考察を行ったところに意義がある。また、まだ暫定的なものではあるものの、代表的対応形選定のための基準は、今後、両言語間の対応関係をより精密に整理するための有効な基準としてその活用が期待される。