本稿は,エルサルバドル共和国の私立ホセ・シメオン・カニャス中米大学で日本語を教えているノンネイティブ教師(以下,NNT)を対象に,2020年4月から開始したオンラインでの教育支援「日本語教師ミーティング」を紹介し,海外で働くNNTに対する教育支援の一方法を示すことを目的としている。本実践やNNTへのアンケート・インタビュー調査の結果から,海外のNNTへのオンラインによる教育支援においては,以下の点を意識する必要性があることが示唆された。
第一に,支援活動開始前の段階における,アンケートやインタビューなどの調査による現地の状況の把握と,NNTが必要としている支援活動の検討が挙げられる。
第二に,活動を続けていく上で,定期的にNNTの評価や要望を確認し,参加者の満足度や継続的な支援に結びつけることである。NNTの経済的・時間的制約を加味して活動のスケジュールを調整する必要もある。
第三に,支援者側の一方的な指導や,支援者側とNNT間の交流だけでなく,NNT同士の交流や相互学習の場を意識した活動を提供していくことである。オンラインによる長期的な教育支援の目的の一つとして,現地の日本語教育を支える日本語教師を育成できる環境が必要である。