本研究ではスペインにおける日本食レストランの現状をまとめた。特にインバウンド視点から海外に広がる日本食レストランがいかに観光資源として重要なのかを考察した。
2020年現在、日本食レストランはスペインの主要都市を中心に約940店があると推定されており、日本食ブームを越えてスペイン人の「日常」に浸透しつつある。
スペインで日本食が人気を集めている理由には、日本に訪問するスペイン人が増加したこと、日本食を好む美食家(グルメ)が増えたこと、日本の食べ物をメニューに導入するレストランが増えたこと、銀行の金利が低くなり、投資先として日本食レストランを開店するケースが増えた点が挙げられる。
海外に広がっている日本食レストランで現地人が食事することは、食を介して日本文化を体験することができ、実際に日本に訪問して日本食が味わいたいといった欲求につながる。すなわちインバウンド視点視点から見て日本食レストランは現地で日本の食と文化の優秀性を発信する拠点としてアンテナショップの役割を果たしていると言っても過言ではない。海外に拠点を持つ日系外食チェーンレストランや現地にある日本食レストランこそ、毎日如く日本食の魅力を世界中に伝播する有機的な観光資源といえる。