地域づくりには、住民の主体的な活動が重要である。筆者らは「住民が主体性を持てる地域づくりイベントの条件」と、その活動に「地域メディアがどのような役割を果たせるか」について明らかにするため、2度の社会実験を行い、4つの仮説を立てた。本稿では、この仮説を実証するために3度目の社会実験を実施した。結果として、「仮説①:人の利他性に訴えかける要素」が必要であることが確認できた。しかし、主催者側の想いや理念よりも、まずはそのイベントにおいて「人が見たくなるもの」や「興味を引く仕掛け」を準備することが必要であることがわかった。「仮説②:自ら主体性を持って行動する仕組み」の必要性を確認することができた。アンケート調査では「自分もできる活動」として、イベント運営への参加の他、「イベント告知」ならできるという回答が多かった。「仮説③:活動の結果が明確に見えるものであること」の必要性も確認できた。そこには、参加者の「笑顔」や「お菓子をもらって喜ぶ子どもの姿」といった具体的事象が挙げられた。そして、地域づくりイベントにおけるメディアの役割については、「仮説④:住民の主体的な行動を促す役割」があり、住民への周知や理解、共感の醸成に一定の効果があることがわかった。しかし、地域メディアの効果的な活用のためには、住民との間の仲介者が必要である。仲介者は、メディア活用の効果を最大限引き出すために、各地域メディアの特徴や特性を十分理解し、イベント内容や訴求対象によって、ケースに合わせた選択と活用を工夫する必要があることもわかった。