本稿は、日本語の言語事実について分析を行ったのではなく、言葉の背景にある日本人の考え方やものの見方、文化などを一つの論理の観点で調べたものである。ある国の言葉に現れた表現方法や語彙などを、一貫した一つの論理で定義するのは無理があると思うが、少なくとも共通の形式や法則があるのではないだろうか。挨拶の場合、長い武家社会や縦社会の「上下や和」の論理が多く現れているし、贈答文化との関連性もあるように思われる。呼称と人称の場合も「内と外」の論理を表す表現が多い。その中でも、鈴木の言う、「虚構的用法」が一番特徴的で、韓国語では話し手の立場で、目の前にいる人物をとらえ呼称を決めるが、日本語には、「声をかける自分をその人物の立場から、より幼い人物と仮定して呼んでいる独特な「相手の視点」の論理がある。語彙の場合は、関係性を重んずる日本人の考え方がよく表れた、「謙遜」に関する語が多いのが特徴的である。膨大な語彙を本稿ですべてを取り上げて分析するのは不可能で、特徴のある語のみを選別し、何回かに分けて引き続き調べていきたい。慣用句の場合、「手」と「目」についてのみ簡単に調べてみたが、今後範囲を広げて行きたい。