本研究では、COVID-19流行下における日本人の旅行に対する意識を明らかにすることによって、コロナ禍収束後の観光行動を予測し、今後の観光産業の回復に向けて必要な対応策について考察することを目的とした。実証分析では、アンケート調査を実施し、自由記述回答はKH Coderを用い計量テキスト分析を行い、それ以外の質問項目については頻度分析を行った。
実証分析の結果、コロナ禍でも人々の旅行に行きたいという意欲は消えることなく、COVID-19の収束後は宿泊を伴う国内旅行から徐々に回復されることが窺えた。また、できるだけ他人との接触を避けて距離が保てられるタイプの活動が好まれる傾向にあることが明らかになり、旅行の際には「感染対策」が最も重視されていることから、今後観光における公衆衛生対策の強化がより強く求められると言えた。さらに、旅行先の感染状況や感染防止対策など関連情報の的確な提供を強く求めていることや、観光産業の回復に向けての人々の願望がとても強いことが明らかになった。
本研究の結果を踏まえ、急激に変化する新しいパターンの観光行動やコロナ禍収束後の急増が予想される旅行需要に備えて観光産業はより的確な戦略を講じる必要がある。