일문목차
序章 總額六○○円の竊盜罪
起訴から一一年目, たまたま出會った裁判だった=9
こんな裁判がまかり通るのか=15
返ってくる應えはただうなずくだけ=17
讀めないしぐさの意味=21
六○○円で起訴―弁護士の啞然=23
「ワシに聞いても, おえん」と被害者は突っぱねた=26
刑法四○條のお目こぼし=31
言葉を持たない被告を裁く裁判とは=33
聾啞の被告に全盲の面會人=38
「不當勾留」=41
映像から活字につなぐ私の願い=42
第一章 立ちはだかった言葉の壁の絶望
保釋―男三人の生活=45
聾啞で讀み書き·手話不能―全國初の「容疑者」=52
そもそも六○○円が通じない=57
第二章 法廷が法廷を裁いた判決―岡山地裁判決
水谷弁護士の疑問と主張=65
「默秘權が告知できていない」=68
なぜ自分はここにいるのか, さえ=72
何をもって「自白」としたのか=76
司法の正義を自ら問うた判決=79
第三章 司法の建て前だけが守られて―廣島高裁岡山支部判決
「公判手續きの停止」が意味するもの=84
適正な搜査と人權こそ=90
知る者のいないふるさと=95
墓前の淚=97
厄介者=100
コミュニケ-ション=103
裁けるのか? 聾啞弁護士の憤怒=107
第四章 屆かなかった上告―最高裁第三小法廷
最高裁への旅=110
あと四年, 還曆までには終わらせてあげたい=115
主張された當たり前の權利=118
街角に立った支援者たち=122
孤獨=124
夜行バス―三○○○人の署名を乘せて=128
三年半, 弁論も開かれずに下った決定=132
補足意見の希望と絶望=137
裁判の停止でなく取り下げを=139
裁判所が召喚狀に見せた初めての"誠意"=141
第五章 死ぬまで被告なのか―再び岡山地裁差し戾し判決
岡山地裁は何も變わっていなかった=144
ここに來てなんと初めての鑑定が始まった=147
法の知を越える情と覺悟を指摘する刑法學者·渡邊修の識見=150
訴訟能力は鑑定できるのか=155
一九九五年師走, 支援を求めて=158
「カメラを持って, お前らなんや」―訪問鑑定の波亂=160
鑑定は言う, 「默っていてもよい, は傳わらない」=167
「回復」の二文字はない被告に下された苛酷な裁き=169
第六章 あっけない幕切れ―最高裁特別抗告と檢察
最後の最高裁へ=176
三行半=180
敗訴=182
じいちゃんになってしまう=184
追い討ちをかけた體調異變=186
急變=188
それはあの日突然に=191
第七章 病と死, そして手にした「自由」
大粒の淚=195
命と引き換えられた「自由」=198
間に合った, でも遲かった=200
病いによってつけられた決着=206
「ばああ, ばああ」―最後のメッセ-ジは何を語ったのか=211
終章 裁くことの行方
「自分を磨かな, いけん」と中川さんは言う=214
報道のあり方も問われた一九年=217
司法では裁けない人がいる=220
裁判員制度にひそむ怖さ=222
東奔西走を續ける水谷弁護士の今=225
活かされていたのか, 過去の聾啞者裁判=231
もう一つの聾啞者裁判「京都事件」=235
おっちゃんの無念はここでも晴らされず=239
「公訴棄却こそが正義」への遠い道=243
「おっちゃんの裁判」は終わらない=246
あとがき=253
森本一昭元被告の裁判經緯=258