本稿は、高畑勲監督のアニメーション映画『かぐや姫の物語』の構成的特徴を、原典『竹取物語』との比較を通して明らかにするものである。まず、「誕生と成長」の章では、原作の簡潔な神話的起源譚が削がれ、授乳や四季の移ろい、子どもたちとの交流などを加えることで、人間的成長の過程として再構成された。次に、「五つの難題」では、風刺的構造が解体され、求婚者たちの順序や場面が再配置され、姫の感情の変化が段階的に描かれている。第三に、「帝の求婚」においては、書簡のやり取りや不死の薬などの挿話が削除され、権力の象徴としての帝が人間的執着の存在へと変化した。姫は彼を拒むことで「生きる自由」を守ろうとする。最後に、「昇天」では、原作の仏教的救済構造が廃され、代わりに捨丸との再会、歌、月の行列など感情的場面が加えられた。これにより、超越と救いの物語は、人間の記憶と生の感情を描く現代的叙事詩へと転換された。高畑は削除と挿入、再配列を通じて古典の神話的枠組みを人間中心の叙述へと変容させたのである。