本研究は、Olshtain & Cohen(1983)および Kádárら(2018)の分析枠組 みを援用し、近年の公共メディア․コーパスに基づいて、日本における政治公開謝罪の談話特徴、語用論的ストラテジー及び背後にある動機を体系的に考察するものである。本稿の考察から、政治的謝罪は高度に儀式化された傾向を示しており、その談話の本質は、形式化された表現を通じて公的場面における責任の「演技」を遂行することにあり、実質的な責任追及や関係修復を目指すものではないことが明らかになった。日常やビジネスの謝罪が実質的解決を目指すのに対し、政治的謝罪では、形式的規範の履行そのものが策略的に優先される。そのため、明確な責任の所在、具体的な補償措置、再発防止の約束といった要素は、意図的に曖昧にされ、弱める傾向がある。このような談話形態の形成は、日本独自の集団主義文化、均質化されたメディア環境、および政治的コミュニケーションにおける象徴的信頼修復への要請に起因する。本研究は、政治的謝罪の語用論的メカニズムとその社会文化的動機を理解するための実証的、理論的基盤を提供するものである。